桐谷高校殺人投票
「そのことと、悠に従うことは違うだろ!?」


裕司が叫ぶ。


「同じだよ……。悠と付き合って、その拳を受けている時だけは、あの頃の過ちを許されているような気がした。だからあたし、暴力を振るわれてても誰にも言わなかったの」


「そんな……」


あたしは唖然としてしまった。


幼い頃の小さな過ちなんて、きっと誰にでもあることだ。


それなのに、梨央はツグミ君へ言った1言をいつまでも引きずっていたのだ。


「梨央! 梨央は何も悪くないよ!」


梨央の首筋に血が流れた。


かなり強く押さえつけているのだろう。


「あたしがあんなことを言わなければ、ツグミ君は1週間学校へ来られてた。みんなの記憶にだって残ってた」


「そんなのわかんないでしょ!? 梨央が原因で来なくなったとも限らないじゃない!」


あたしは必死になってそう言った。


だけど、梨央はあたしを見てほほ笑んだんだ。


「違うんだよ、優衣……。本当に、何も覚えてないの?」


「え?」


梨央の言葉にあたしは戸惑った。
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