桐谷高校殺人投票
「戦ってはいけないとは言ってないだろぉ? 山中だって、生き延びたんだ」


そうだ。


彩の時もそうだった。


人を殺す勇気が持てなかったサツキがモタモタしている間に、サツキのカッターナイフを奪ったんだ。


目の前で晴哉と裕司がもみ合っている。


あちこち切りつけられた肌からは血が止まらず、制服はどんどん赤く染まっていく。


そんな状態でも、2人とも譲らなかった。


叫び声を上げながら生きることにしがみ付いている。


あたしはその光景に思わず後ずさりをしていた。


目の前にいるのはクラスメートじゃない。


生死をかけて戦う野生動物だ。
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