桐谷高校殺人投票
こんな状況になっても3人は特別だと思ってくれている。


それはあたしも同じ気持ちだったけれど、とても嬉しいことだった。


「あたしも大和と同じ。逃げないし、殺さない」


「それなら、全員で投票しないってことにしたらどうかな?」


里子がそう言った。


「それもいいかもね」


あたしはほほ笑んで頷いた。


投票に参加しないことは唯一の抵抗になる。


窓の外にはまだ雨が降り続いている。


空は雨雲で薄暗いが、真夜中に比べれば随分と明るい。


窓の下にはカラフルな傘が増えていた。


「そう言えば」


ふと思い出したように大和が言った。


「なに?」


あたしは首を傾げて聞く。

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