桐谷高校殺人投票
どこへ行っても逃げ道はないし、投票時間になれば戻らなければならないのに。


そう思うけれど、3人で走っていると本当に幼い頃に戻ったような感覚になっていた。


それはとても懐かしい感覚で、気が付けば笑顔になっていた。


「待ってよ大和! 足、速いよ!」


里子が一生懸命大和について行く。


大和は時折振り返りあたしたち2人に手を振った。


階段を駆け上がり、屋上へと続く通路を走っていく大和。


先生が追いかけて来る様子はない。


窓の外から太陽の光が差し込んでいるのが見えた。


大和が両手で屋上へと続くドアをあけ放った。


明かりが差し込んでくる。


「あ……」


外へ出た瞬間あたしは空を見上げた。
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