桐谷高校殺人投票
「海の汚水はそのまま蒸発し、雲になる。それが大量に降り注いだ時、島の子供たちだけに大きな影響がでることがわかった。

きっと、君たちの祖先たちが体に汚水を取り込んだせいで、影響の出やすい体質になっているんだろうね」


先生の口調は優しかったけれど、あたしには理解に苦しむ話しだった。


「影響が出た子供たちは集団で恐ろしい幻覚を見るんだ。人を殺したり、殺されたりする夢だ」


「夢……?」


「あぁ。だけど実際は君たちはずっとベッドの上にいたんだよ」


ベッドの上にいた?


そう聞いた瞬間、大和の感じていた違和感が晴れて行った。


空腹感もなく、トイレに行く必要もなかったこと。


それは実際には病院のベッドにずっといたからだったんだ。


「その夢はみんな同時に、同じ内容のものを見ている。だけど、夢は夢なんだ。現実じゃない。だから、怖がる必要はないんだからね?」
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