桐谷高校殺人投票
「こんなの作り物だ! 信じてんじゃねぇぞ!」


悠がモニターの前に立って叫ぶ。


「でもさ、一時梨央の顔に青アザができてた時があるよね」


誰かがそう言った。


その声はやけに大きく響いて聞こえて来た。


あたしも、梨央が怪我をして登校して来たのを見ている。


あの時梨央は階段から落ちたんだと言っていた。


あまりに深く聞かない方がいいと思い、それ以上聞かなかったんだ。


「松岡君。席に戻りなさい」


先生にそう言われて、悠は青ざめたまま自分の席へと戻って行った。


モニターの中の暴力はまだ続いている。


顔や体、あちこちを殴ったり蹴ったりを繰り返している悠。


教室の梨央はジッと俯き、投票用紙を見つめていた。


「こんなの許せない」


そう言ったのは里子だった。
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