桐谷高校殺人投票
この小さな島ではなんでもかんでもあっという間に噂が広まってしまう。


恋愛相談だって下手にできないのだ。


3人で教室へ向かうと、雨音は更に大きくなり窓を叩きつけるようになっていた。


「あ~あ」


大和が窓の外を眺めて深いため息を吐き出した。


鞄を置いて大和の隣に立つと、荒れている海が見えた。


風も強く、波が高い。


これじゃ今日も船は来ないだろう。


「ひどい雨だね」


「そうだよな。このままやまなかったら、俺ら島に隔離されちまうな」


「そうなる前に救助がくるから大丈夫だよ」


あたしはそう言って笑った。


このくらいの雨ならまだ大丈夫だ。


ずっと島で暮らしていたから、もっとひどい台風を知っている。


あの時は作物が全部ダメになり、手作りの小屋が飛ばされたりしていた。


それに比べればまだ優しいものだった。
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