キミと初恋。
「それより先輩、こんなところで何してたんですか?」


先輩はヒーローかもしれないけど、それにしたって現れるタイミングが良すぎる。


「俺が校門近くの校舎下にいたら茶髪のボブヘアー女子が来て、そいつがここにかすみがいるから行けって言ったんだよなー。あいつ、お前の友達だよな? 確か前、食堂でかすみの隣にいたろ?」


茶髪ボブ……きっとりょうちんのことだ。傘取りに行くって言って戻ってきてないのはそのせいだと思う。

傘立てが門を出る前のピロティーホールにあるからそこに向かってる途中で先輩を見つけたんだろう。


「はい、そうです。彼女は私の一番のクラスメイトなんです」

「ふーん、でもよ、お前ホウレンソウを怠るなよなー」

「ほうれん草……?」


何? ほうれん草が食べたいって意味ですか? 急に?


「バーカ、報・連・相だろ。報告・連絡・相談ってやつだ。知らねーの?」

「知りませんし、初めて聞きましたけど」

「なんだ、バイトした事ないのか」


そういう先輩はしてるんですね? そう言いかけて、やめた。それを聞くのはプライベートに関与する部分かも……なんて思ったから。

でも、なんとなくしてるんだろうなーって気はしてたけど。


先輩が私が地面に置いていたカバンを拾おうとして、えっ? って顔をした。

花壇の状態にショックだったせいで、荷物をその場に置いたままにしていた。


「なんかあったら、報告しろって言ったよな? 俺に先に帰れって言ったのはこのためだったんだろ」


そう言って先輩は私のカバンの中の泥を花壇に戻した。


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