キミと初恋。
「おーい、こっちだ」


先輩の誘導で向かったのは3年生の校舎。何も考えず1年校舎へと向かおうとしてた私は先輩の後を追いかけて校舎内に入った。

3年生が使う校舎。見た目は全く同じ建物なのに、廊下を歩くと窓から見える景色が違っていて、なんだかワクワクする。

移動教室の時にこの校舎を使う事はあるけど、それも時々だ。

もう人の気配はほぼない校舎内を私はそわそわしながら先輩の後ろをついて行った。


あっ、ここだ。


先輩は何も言わずに教室の中へと入って行った。3ーAと書かれた表札が先輩のクラス。

3年生が使う校舎と移動教室で使う教室は階が異なるけど、りょうちんと一緒にわざわざこの2階の南階段から北階段へ移動して3階にある移動教室へと向かった事がある。

1年や2年の女子はこの移動方法が定番だった。みんな、そうやって先輩や上級生の教室を覗きにいくんだ。

いつも移動教室の時、一緒に行動を共にするりょうちんは、他の女子とは違い気まぐれと興味本位でこのルートを選ぶ。

私も先輩が見たいからなんて言えず、その気まぐれに付き合ってます、の定でこのルートを通っていた。


「おい、なにぼけっとつっ立ったってんだよ。ほら、これ使え」


そう言って教卓の中から取り出したのは真っ黒なゴミ袋。


「あっ、ありがとうございます」


それを受け取ろうとしたら、突然視界が真っ暗になった。


「わっ! なにするんですか‼︎」


ゴミ袋を頭からすっぽりと被せられて、袋の口を縛られててる。

私が慌てて袋から出ようともがいてる時、袋越しに先輩の手が私の頭を撫でた。

かしゃかしゃという袋の音が止んだ時、視界は黒から薄暗い教室へと切り替わった。


「色々と、悪かったな……」


< 102 / 204 >

この作品をシェア

pagetop