キミと初恋。
✴︎
「お帰り!」
玄関の扉が開いたと同時に、家の敷居をまたごうとしている人物に私は思いっきり抱きついた。
「ただいま、かすみ」
季節は夏から秋へと移ろうとしているというのに、彼女の声はどこか春うららかな暖かいものを彷彿させる。
それが、
「私、お姉ちゃんが帰ってくるのすっごく楽しみに待ってたんだよ」
私の姉、風花(ふうか)だ。
お姉ちゃんは名前の通り花が風に舞うように、ふわりと微笑んだ。
「かすみは相変わらずね」
「お姉ちゃんは相変わらず綺麗だね」
「あははっ、そういうところも相変わらずね」
お姉ちゃんはそう言って笑うけど、本当にそう思ってるんだけどなぁ。
DNAとは当てにならない……なんて思うほど、私とお姉ちゃんでは月とスッポンだ。
「お姉ちゃん、また痩せた?」
「本当? 太らないようにしなくちゃって最近気をつけてたからかな?」
「私、お姉ちゃんが太ったとこなんて見たことないよ」
「テレビに出ると太って見えちゃうからね。ちょうど良かった」
そう言ってお姉ちゃんはお母さん達がいるキッチンへと向かった。
そのキッチンへ向かう途中、ふと思い出したかのような物言いで、口を開いた。
「……そう、いえばかすみって、M高校に入学したんだよね?」
「うん、そうだよ」
「そっか。高校……楽しい?」
「……うん、楽しいよ」
「そっ、か。うん、良かったね」
お姉ちゃんはそのままキッチンの扉を開き、お母さん達と久しぶりの対面を果たす歓喜の声がまだ廊下に立ち尽くしたままの私のところまで響いてる。
私はなかなかキッチンには向かえず、二階に上がる階段に座り込み、息をひとつ吐き出した。
「お帰り!」
玄関の扉が開いたと同時に、家の敷居をまたごうとしている人物に私は思いっきり抱きついた。
「ただいま、かすみ」
季節は夏から秋へと移ろうとしているというのに、彼女の声はどこか春うららかな暖かいものを彷彿させる。
それが、
「私、お姉ちゃんが帰ってくるのすっごく楽しみに待ってたんだよ」
私の姉、風花(ふうか)だ。
お姉ちゃんは名前の通り花が風に舞うように、ふわりと微笑んだ。
「かすみは相変わらずね」
「お姉ちゃんは相変わらず綺麗だね」
「あははっ、そういうところも相変わらずね」
お姉ちゃんはそう言って笑うけど、本当にそう思ってるんだけどなぁ。
DNAとは当てにならない……なんて思うほど、私とお姉ちゃんでは月とスッポンだ。
「お姉ちゃん、また痩せた?」
「本当? 太らないようにしなくちゃって最近気をつけてたからかな?」
「私、お姉ちゃんが太ったとこなんて見たことないよ」
「テレビに出ると太って見えちゃうからね。ちょうど良かった」
そう言ってお姉ちゃんはお母さん達がいるキッチンへと向かった。
そのキッチンへ向かう途中、ふと思い出したかのような物言いで、口を開いた。
「……そう、いえばかすみって、M高校に入学したんだよね?」
「うん、そうだよ」
「そっか。高校……楽しい?」
「……うん、楽しいよ」
「そっ、か。うん、良かったね」
お姉ちゃんはそのままキッチンの扉を開き、お母さん達と久しぶりの対面を果たす歓喜の声がまだ廊下に立ち尽くしたままの私のところまで響いてる。
私はなかなかキッチンには向かえず、二階に上がる階段に座り込み、息をひとつ吐き出した。