キミと初恋。
どきりとする理由なんてないのに。彼氏なんていないし。


「慌ててる〜。怪しいなぁ」

「慌てもするでしょ! お姉ちゃんが急に変なこと言うんだもん」

「変なことかなぁ? かすみももう高1だし、学校にも慣れただろうし、そういうのがあってもおかしくないと思うけどな」

「私はお姉ちゃんと違ってモテないからね」


これは皮肉ではなく真実だ。私とお姉ちゃんが並んでいたら、きっとみんなお姉ちゃんを選ぶんだ。100人いたら100人ともお姉ちゃんを選ぶと思う。

同性の私から見てもお姉ちゃんは魅力的だと思うのだから、周りの人から見たらもっとそう感じるはずだ。

芸能プロダクションの人がそうだったように、私とお姉ちゃんが並べば選ばれるのはいつもお姉ちゃん。

先輩だってそう。私の方が先輩とは先に出逢っていたはずなのに、先輩が恋に落ちたのはお姉ちゃんの方だった。

もしかしたら、当時の私は幼すぎたというのもあったかもしれない。だけど、世の中とはそういうものなんだ。

縁やタイミング、そういうものだってきっとあるんだと思う。

私はきっと、そういうのが上手く自分の願い通りにいかないってだけ。

それをどこか少し悲しくも感じた時はあったかもしれない。けど、私はちゃんと自分の身の丈を知っている。

いつまでも自分でどうにもできない事で恨んだり悲しんだりするほど私は暇でもない。


「お姉ちゃん」

「うん?」

「私お姉ちゃんのブログ、いつも読んでるよ」

「えっ! そうなの⁈ やだっ、恥ずかしいなぁ」


なんて言いながら照れるお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんが見たくて言ったのもあるんだけど。


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