キミと初恋。
「そんな照れなくてもいいじゃん。お姉ちゃんのブログは今や色んな人が見てるわけでしょ」

「そうだけど……でも、家族とかに見られてると思うとなんかちょっと違うんだよ」


お姉ちゃんはそう言った後マスクをつけた。小さな顔につけたマスクはなんだか少し大きいように思うけど、きっとこれは私が使うのと同じ標準サイズなんだろうなって思った。


「マスクだけでいいの? 帽子とか被らないの?」


そんなマスクくらいじゃお姉ちゃんの美貌は隠しきれてないと思うんだけど。

むしろマスクは顔を半分覆ってくれるわけで、普段よりも可愛さアップしてしまうと思う。


「それって、逆に人目につく気がするけどなぁ」

「そう? でも私だって分からなければいいの。帽子まで被ったらそれこそ何って感じじゃない? 私そんなに有名じゃないし」


そう言って微笑むお姉ちゃんは可愛さ倍増だった。思わず私まで胸キュン、即死ものだ。

意識をしっかり持ち直し、私はお姉ちゃんと向き直った。


「お姉ちゃんはもう有名人だよ。だから気をつけなきゃ」

「ありがと。かすみは私のファン第1号だもんね」

「そうだよ。だから私はお姉ちゃんが心配なんだからね」


ずっとモデルの仕事ばかりしていたのに、最近ではドラマや映画のオファーまできてるらしいお姉ちゃん。

まだちょい役みたいだけど、それでも地元ではちょっとした有名人だ。

子供の数より老人の方が多いような、こんなさびれた町から活躍する人が出たとなればなおさら。

下手をすると東京なんて都会よりも有名人かもしれないのだから、お姉ちゃんの警護は私がしっかりしなくては。


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