キミと初恋。
誰がこの手紙をここに置いたのか。誰が私の秘密を颯ちゃんに知らせたのか。
なんて、そんな事はもうどうでもいい。
「……そう、です」
カサリ、と先輩が握り締めている手紙が揺れた。
もう、隠し通せない。あそこにある、颯ちゃんが握る手紙に全ての真実がある。
私の嘘は、真実に敵うわけがないし、これ以上、嘘を重ねたくない。
だから私は、ゆっくりと震える唇をなだめるように動かして、言った。
「私の姉は、斉藤風花……私は、先輩の元カノの妹です」
「ざけんなよ!」
手紙も写真も、颯ちゃんの手によってくしゃりと握りつぶされた。まるで私と颯ちゃんの関係のように。
「じゃあ、お前は全部知ってたのかよ」
「……」
「全部知ってたんだろ。その上で俺のに近づいたのかよ」
握り締められていた写真も、手紙も、そのまま地面に叩き付けられた。あの写真の中では、私とお姉ちゃんが幸せそうに笑っていたはずなのに、今はその姿すら見る事ができない。
「……はっ、違ったか。近づいたのは俺の方だったな」
颯ちゃんは自嘲気味に笑って、乱れた前髪を手櫛で書き上げた。
「なんだよ、どういう気持ちで俺を見てたんだ?」
どういう、気持ちで……?
「全部聞いたんだろ? 楽しかったか? お前の姉にフラれたあとの俺の様子見てて。こんな彼女取っ替え引っ替えしてるやつが風花と付き合ってたって知ってどう思った? 嘲笑ってたのか? それとも仕返しでもしてやるつもりだったのか?」
「そうなつもりじゃ……」
「じゃあどんなつもりだったのか教えてもらいたいもんだな」
颯ちゃんの眼光はナイフのように私の心をえぐる。私が何か言おうと思っても、その気持ちすら捻り潰すように心を折られてしまう。
「なにも言えねえのかよ」
「颯ちゃ……」
思わず颯ちゃんの腕を掴もうとしたけど、それはいともあっさりと払いのけられてしまった。
「二度と、馴れ馴れしくその名前で呼ぶな」
そんな言葉だけ吐き捨て、颯ちゃんは身を翻した。
立ち尽くす、私をその場に残してーー。
なんて、そんな事はもうどうでもいい。
「……そう、です」
カサリ、と先輩が握り締めている手紙が揺れた。
もう、隠し通せない。あそこにある、颯ちゃんが握る手紙に全ての真実がある。
私の嘘は、真実に敵うわけがないし、これ以上、嘘を重ねたくない。
だから私は、ゆっくりと震える唇をなだめるように動かして、言った。
「私の姉は、斉藤風花……私は、先輩の元カノの妹です」
「ざけんなよ!」
手紙も写真も、颯ちゃんの手によってくしゃりと握りつぶされた。まるで私と颯ちゃんの関係のように。
「じゃあ、お前は全部知ってたのかよ」
「……」
「全部知ってたんだろ。その上で俺のに近づいたのかよ」
握り締められていた写真も、手紙も、そのまま地面に叩き付けられた。あの写真の中では、私とお姉ちゃんが幸せそうに笑っていたはずなのに、今はその姿すら見る事ができない。
「……はっ、違ったか。近づいたのは俺の方だったな」
颯ちゃんは自嘲気味に笑って、乱れた前髪を手櫛で書き上げた。
「なんだよ、どういう気持ちで俺を見てたんだ?」
どういう、気持ちで……?
「全部聞いたんだろ? 楽しかったか? お前の姉にフラれたあとの俺の様子見てて。こんな彼女取っ替え引っ替えしてるやつが風花と付き合ってたって知ってどう思った? 嘲笑ってたのか? それとも仕返しでもしてやるつもりだったのか?」
「そうなつもりじゃ……」
「じゃあどんなつもりだったのか教えてもらいたいもんだな」
颯ちゃんの眼光はナイフのように私の心をえぐる。私が何か言おうと思っても、その気持ちすら捻り潰すように心を折られてしまう。
「なにも言えねえのかよ」
「颯ちゃ……」
思わず颯ちゃんの腕を掴もうとしたけど、それはいともあっさりと払いのけられてしまった。
「二度と、馴れ馴れしくその名前で呼ぶな」
そんな言葉だけ吐き捨て、颯ちゃんは身を翻した。
立ち尽くす、私をその場に残してーー。