キミと初恋。
連れて来られたのは人気がない校舎裏。

完全にシメられるシチュエーションじゃん……。


「せっ、先輩。やっぱり私トイレに……」


さっきはただ逃げる口実で言っただけだったけど、今度は本当にお腹が痛い気がしてきた。


「俺見てないからその辺でしていいぞ」


……はぁぁぁ⁈


「それ、お嫁に行けなくなりますから!」


俺見てないから、とかいう問題じゃないでしょ。

鬼か、この人は。


ああ、なんだかとても悲しくなってきた。私の知ってる先輩は、こうじゃなかったのに。

私が勝手に良いイメージを持ちすぎていたのかもしれない。

とても笑顔が似合って、いつも優しそうな明るい印象だったのに……。


「あんたさ、俺のこと相当嫌ってんだろ? なんで?」

「いえ、嫌うなんてそんな……」

「じゃあ好きなのか?」

「えっ? あっ……」


好き、なのか。

私はーー。


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