キミと初恋。
「昔言われた事あるんだよ。男が花なんて……ってな」

「えー! そんな事言う人今どきいるんですか? しかも青井先輩にそんな事言うのはどんな輩ですか」


差別もいいとこだ。先輩の事子供だとか思ったけど、言った相手はもっと子供だ。


「小学生の時の話だけどな」


なんだ、相手は本当に子供だった。

それならまぁ、言われてもあり得ない話ではないか……でも私からしたら、いくら小学生だと言ってもあり得ないんだけどね。


「子供だったから仕方ねーけど、やっぱりショックというか恥ずかしかったんだろうな。今は別にって感じだけど、なんかあの時の事を思い出すというか……」


この話はやめやめ、なんて言って先輩はマックが見えた事を指差して知らせてくるけど、私はやっぱり話を終わらせる気にはなれなかった。


「私は自分の名前が嫌いだったんです」


私には3つ年上の姉がいて、姉は同性の私から見ても可愛くて綺麗で優しくて。本当にパーフェクトな人間なんてこの世にいるんだって自分の姉を見るたびに思ってた。

だからこそ、自分がどれだけみすぼらしい人間か、なんて卑屈にも思ってた時期があった。


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