キミと初恋。
「まぁ、言いたい事は分かる。なんせ今日なんか関係ないお前にまで水ぶっかけるような奴もいたわけだしな」

「そうでしょう? 先輩は先輩の周りの女子達を甘く見過ぎですよ」


まぁ、あの元カノに関しては昨日先輩も水ぶっかけられてましたけどね。


でも基本的に他の女子は先輩にはよく見られたいだろうから良い顔するに決まってる。

ただ、対私となった場合はどうか。

他の先輩を狙ってる女子からすればただの邪魔者でしかない。

しかも彼女ではないとなれば、いつもみたいな日替わりでポジションが回転したりはしないだろう。

先輩の彼女がダメなのならば……きっと他の女子からすれば、私がいるここのポジションは喉から手が出るほど欲しい場所なんだと思う。

そして虎視眈々(こしたんたん)と、このポジションからの昇格、もしくは出戻りを求めるに違いない。


「でも、俺は明日からもお前には俺の隣の席に座って欲しいと思う」


……まぁ、その方が他の女子を相手にするより楽ですからね。

先輩にとって、利点しかありませんしね。


「なら、こうしよう。昼めしは毎回俺が奢ってやる」

「だーかーらー」


正直、そういう問題じゃないんですよね。


「あと、ああいう事がまたあった時は、今度はちゃんと俺が守ってやるから」

「どうやって?」


しかも私は先輩と食堂で一緒に肩を並べてご飯を食べるってだけの友達役だ。

普通、厄介ごとは大抵が先輩のいないところで起きるものだと思うし。


「何かあれば俺にすぐ報告すればいい。そしたら俺はいつでも駆けつけてやるよ」


でも、そうは言っても……って口では言いたいのに、先輩があまりにも真剣にそんな事言っちゃうから、つい私の口は言葉を発する事を放棄してしまった。


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