キミと初恋。
私が初めて会った時の先輩は、とても優しそうで、いつもニコニコ笑ってた。

今みたいにぶっきらぼうな様子もなくって、純粋に心から笑顔を振りまいてた。

きっと心根も純粋な人なんだろうなー、なんて思って、私は先輩の事が気になって気になって仕方なかった。

花が好きになったのも、それがキッカケだった。

名前のせいで花なんて好きになれなかったのに、突然自分の名前が愛おしく思えるほど、人間なんて単純な生き物なんだと痛感した瞬間でもあった。


だから私は、昔の頃のようなそんな先輩が見たくて、ただ戻って欲しくて……。


「……仕方ないですねぇ。もうしばらく先輩のごっこ遊びに付き合ってあげますよ」


ぶっきらぼうは最近の先輩の得意技。なのに、今回ばかりは私の方がぶっきらぼうにそう言ってしまった。

だけど、それでも先輩は満足だったみたい。

久しぶりにお日様みたいな暖かい先輩の笑顔が見れたから、やっぱり先輩の友達役を引き受けて良かったのかもしれない。


今はそんな理由でもいいや。もう少しだけ先輩のそばにいさせてもらおう。

先輩のそばでこの笑顔を見させてもらおう。

そしたらきっとーー。


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