キミと初恋。
✳︎


『……で、先輩とは付き合う事になったんだ?』

「ちがーう! ちゃんと人の話聞いてた? 友達として一緒にお昼食べる仲になったってだけだから」


りょうちんは相変わらず付き合う方向に話を持っていこうとする。

ここでちゃんと話を食い止めとかなくては、またややこしい事になりかねない。


『あの食堂事件の後、クラスでも話題持ちきりだったからねー。しかもかすみってばカバン置きっ放しで帰って来ないもんだから余計噂になってるけど』


その噂っていうのが、一番怖いんだけど……。


「私、周りからはなんて噂されてんの?」

『まぁ、色々? 明日学校来てみればわかるってしししっ』


しししっ、じゃないし。

まぁ、今聞いたところで明日の状況が変わるわけでもないから、今は聞かないでおこう……。

私はまだそれを聞く心の準備ができてない。


『そもそもなんでそんなおかしな関係になってんの?』

「それがちょっとややこしいんだけど……誰にも口外しないって誓い立てれる?」

『なになに! 面白そうじゃん。教えてよ』


電話越しだというのに、りょうちんが前のめりになったのがよく分かった。

私と真逆の温度差だ。


「ちょっと、楽しまないでほしいんだけど。こっちは死活問題なんだからね」

『わかってる、わかってる。もちろん誰にも言うわけないじゃん。……で、なになに?』


どこまでも楽しんでるりょうちんに私はため息ひとつついてから、事の経緯を話しはじめた。


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