キミと初恋。
ひとつ、お昼ごはんは食堂で先輩の隣の席で食べること。

ふたつ、お昼ごはんは先輩のおごり。

みっつ、先輩に友達以上の感情を抱かないこと。

よっつ、お互いのプライベートには干渉しないこと。あくまで友達としての範疇(はんちゅう)で接すること。

いつつ、先輩目当ての女子(元カノ含む)から嫌がらせを受けたら先輩へ報告すること。


「……てな感じで、約束五箇条を取り決めたんだよね」

『ねぇ、一つ気になってるんだけどさ、かすみに彼氏が出来た場合はどーすんの? 青井先輩にだって好きな人ができるかもしれないじゃん。日替わりなんかじゃないやつで』


なるほど。それは考えが及ばなかったな。

そもそも私はすでに先輩が好きなわけで、だからこのふたつ目の取り決めをすでに破ってる状態だ。

でもこの取り決めの前からこの気持ちはあった訳で、その一線を越えるつもりもなければ、先輩からこの提案がなければ私から近づく事もなかった訳で……。

だからこれは無効。


それにもし先輩が本当に好きな人が出来たのなら、私はきっと嬉しいと思う。

だって、今までみたいに無茶苦茶な付き合い方してるよりずっといいに決まってる。

あんな、日替わり彼女を作ってるような痛々しい先輩が見ていられなくて手を貸すのだから、先輩に好きな人ができたのなら、私はちゃんと祝福してあげたいと心から思ってる。

でもきっとそれは、まだまだ時間のかかる事なんだと思うんだ。

先輩にはきっとまだまだリハビリ期間というか、これはもう休養期間と言ってもいい。寂しさを埋めるためだけの彼女、日替わり彼女を作らないでおくことがまずは必要なんだから。

どれくらいそれが必要かは先輩次第だけど、とりあえず先輩が高校を卒業するまでは友達役を演じてみようと私は思ってる。


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