キミと初恋。
「そこまで考えてなかったけど、まぁまず私に彼氏ができるって方が可能性低いから、とりあえずそうなったらそうなった時に考えるよ」


あははっ、なんて笑ってみせたけど、りょうちんはバッサリそれを切り捨てる。


『なんかもうすでにその五箇条とやらの綻びが見えてる気がするんだけど』

「その都度修正入れてくからいいんだよ」


なんて言いながらも、正直私も心の中ではりょうちんに賛同していた。

この契約とも言える取り決め内容はすでに破錠をきたしてる。私が先輩への想いを隠してる地点でそうだから。


『しっかしさー、花の高校生だというのに枯れてるねぇー。それってさ、彼氏を作ろうとしない宣言にも聞こえるじゃん。あの青井先輩の隣なんかにいたら、他の男子なんか霞んで見えるっしょ?』

「いやー、どうかなー? まぁ、一理あるかもだけど、でも先輩ってなかなか酷いよ? 私かなりぞんざいに扱われてるし」

『それがまたいいんじゃん? 純粋に先輩と友達になんてそうなれるもんじゃないじゃん?』

「まぁ、確かに……」


でも、友達の方が恋人になるより難しいって、なんなんだろう……。


『でもさ、あたしはなんだかんだ言って、かすみは青井先輩の事が好きなんだと疑ってたんだけどなー』


なんだはずれか……なんて、ちぇっ、と小さな舌打ちが電話越しに聞こえた。


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