キミと初恋。
ーーガラリ。とレールの上を滑る扉の音がやけに耳に残った。

理由は明白で、静かに扉を開けたはずなのに、突然静まり返った教室にはよく響いたからだと思う。


針のむしろとはこういう状況を指すのかな……みんなの視線が四方八方から感じる。むしろ感じるどころか、痛いし。

思わず苦笑いがこぼれそうになるのを必死に押しとどめ、素知らぬ顔で自分の席へと真っ直ぐに向かう。

なんだか遠くもないこの距離が、やけに長い道のようにも感じる……。

正直、教室にたどり着くまで大変だった。学校の姿が遠目に見える距離からすでに戦いは始まっていた。

登校中の顔も知らぬ女子には陰口を叩かれ、上級生に関しては露骨に悪口を言われた。


どうやって先輩の気を引いたのか。

先輩の事殴っておいてそばにいるなんて、どう考えてもおかしい。

もしかすると先輩の弱みを握って脅してるんじゃないか。

あの子の親がヤクザと繋がっていて今回はそれを武器に先輩を脅してるんじゃないか。


……などなど。
ほんと、言いたい放題言ってくれちゃう。

この状況がおかしい事は私が一番感じているというのに。


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