キミと初恋。
「斉藤さんって本当に青井先輩と友達なの?」


不意に声をかけてきたのは、クラスでもそんなに話した事のない小倉さんと山下さん。

不意打ち過ぎて一瞬言葉に詰まってしまった。


「あっ、えと……うん、そうだよ」

「じゃあさ、先輩に一目惚れされたっていうのはーー」

「それは嘘だから!」


私は思わず立ち上がって、彼女の言葉に被せるようにしてそう言った。

声のボリュームも思った以上に出てしまい、再び辺りは静まり返ってしまった。


ーーしっ、しまった……。


すとん、と腰をおろして、私は思わず苦笑いを浮かべてみる。

小倉さんと山下さんはきょとんとした顔で私を見つめた後、2人はお互いに顔を合わせた。


「じゃあさ、恋に落ちる秘孔を突けるっていうのもウソ?」


はっ、はい……?


「いやだってさ、先輩の事殴ってた人がさ、翌日何もなかったかのような顔して普通隣の席に座れる? しかも先輩からは一目惚れだとかまで言ってもらってたでしょ?」


私は開いた口が閉まらない。

恋に落ちる、秘孔……? なんじゃそりゃ。

昨日りょうちんが意味深に言ってたのはこの事だったのか。

私はちらりと教室内を見渡した。まだりょうちんは来てないようだ。

代わりにたくさんのクラスメイトがこの話に興味津々な視線を送っている。


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