甘々王子に懐かれた!?
――――――
頑張ると決意して、早一週間。
なにか変化はあったかって?いいえ、全くありません。
そろそろ幸や瀬戸川先輩に何か言われるかもしれないなぁ。
「優茉ーっ、明日は体育祭だよ!楽しみだね」
「そうだね。楽しみだね、応援するの」
そう、明日は体育祭なのだ。
幸と私は、応援することだけが楽しみ。
だって、運動神経悪いもん。
だけど、イベント事が好きな私たちは、応援せることだけを楽しみにワクワクしているんだ。
明日くらい、先輩のことを忘れてもいいかな……。
ちゃんと、ちゃんと告白はするから!
クラスの皆も明日のことを楽しみにしているようで、いつもよりざわついている。
〝先輩って何色なのかな〟
「紅組、同じだよ」
「え!?……もれてた?」
「うん、バッチリ。というか、知らなかったの?」
呆れた、というように幸はため息をついた。
「頑張るって言っておきながら、全然先輩のこと知らないじゃない」
「だ、だって、やっぱりその日まであまり関わりたくないもん」
拒絶されるならば、その日だけでいい。
そう思って、先輩と関わることは極力避けている。
「しかも、リレー出るみたいよ?」
「そうなんだ……」
色別対抗リレー、という名のリレーがあって、この学校には紅と白の二色がある。
さすがに二人で走って競うのは嫌だろうという、学校側の配慮により、紅組二人と白組二人で走る。
一年生から四人、二年生から四人、三年生から四人、足の速い人が選ばれる。
選ばれたということは、先輩は速いんだ。