甘々王子に懐かれた!?
「はじまる!」
その声のほんの少しあとに、スターターピストルがパパンと鳴った。
私の顔を自然と上がった。
一人で応援している人もいれば、クラス単位で応援している人たちもいる。
私は、落ち込んだ気持ちをあげようと大声で応援する。
今のところ、白、紅、紅、白の順だ。
そこまで差はあいていないから、これから変わってくるだろう。
「頑張れ!」
走っている人は誰だか知らないけど、とりあえず勝ってほしい。
にしても、迫力があるなぁ。
実況席では、実況者が頑張って説明している。
「ちょっと、優茉!もうすぐアンカー、先輩だよ!」
隣では興奮しまくっている幸が、手加減なしに私の肩をバシバシ叩く。
苦笑いを浮かべながら、私は分かってると一言だけ言った。
幸から視線を移すと、先輩がバトンをもらうところだった。
紅、白、紅、白の順で、先輩は後の紅のほうだ。
差は、白とはそこまでだが、一位を走っている紅とは半周の差。抜くのは困難だ。
「……先輩、頑張れー!」
周りの応援に負けじと応援する。
だって、こんないい機会はないよ。
周りもたくさん応援しているから、どれだけ先輩を呼んでも許されるんだ。
頑張れ、頑張れ!