甘々王子に懐かれた!?


「はじまる!」




その声のほんの少しあとに、スターターピストルがパパンと鳴った。


私の顔を自然と上がった。


一人で応援している人もいれば、クラス単位で応援している人たちもいる。


私は、落ち込んだ気持ちをあげようと大声で応援する。


今のところ、白、紅、紅、白の順だ。


そこまで差はあいていないから、これから変わってくるだろう。




「頑張れ!」




走っている人は誰だか知らないけど、とりあえず勝ってほしい。


にしても、迫力があるなぁ。


実況席では、実況者が頑張って説明している。




「ちょっと、優茉!もうすぐアンカー、先輩だよ!」




隣では興奮しまくっている幸が、手加減なしに私の肩をバシバシ叩く。


苦笑いを浮かべながら、私は分かってると一言だけ言った。


幸から視線を移すと、先輩がバトンをもらうところだった。


紅、白、紅、白の順で、先輩は後の紅のほうだ。


差は、白とはそこまでだが、一位を走っている紅とは半周の差。抜くのは困難だ。




「……先輩、頑張れー!」




周りの応援に負けじと応援する。


だって、こんないい機会はないよ。


周りもたくさん応援しているから、どれだけ先輩を呼んでも許されるんだ。


頑張れ、頑張れ!
< 102 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop