甘々王子に懐かれた!?


先輩は白を抜いた。


ワーッと歓声が沸き起こる。


次の紅までは、半周より少し狭いくらい。


でも、先輩の残りは一周。その一周では足りない。




「頑張れ!頑張れ、先輩!」




いつもいつもヘラヘラしている先輩が、汗を流して腕を振って走っている。


走っている分、いつもより三割増イケメンに見えるよ。




「紅組がゴールしましたーー!ほんの少しの差でもう一つの紅組もゴール!!」




ゴールテープを切ったのは、先輩じゃない紅組のほうだった。


でも、あと半周走っていれば、抜けたかもしれない。


凄い。かっこよかったです、先輩。


前までの先輩なら、かっこよかった?かっこよかった?ってしつこく聞きに来たのかもしれない。


……寂しい。




「優茉!かっこよかったね、先輩!」




「うん、超かっこよかった」




伝えたい。


かっこよかった、と。




――――――




「みんなぁ、お疲れ!カンパーイ!」




「「カンパーイ」」




私たちのクラスは焼肉屋に来ていた。


今日の、お疲れ様パーティーみたいなものだ。


紅組は無事優勝を勝ち取った。そこで、クラスのムードメーカーの男子を中心に、焼肉屋に行こう!ということが決まり、私と幸も参加することにした。


でも、さっきからお疲れ様なんて言ってる場合じゃないというクラスの女子が多数。


そのわけは……。
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