甘々王子に懐かれた!?


――――――




「瀬戸川先輩?」




「え?あぁ、優茉ちゃんね。びっくりした」




ジュースが空になったので、ドリンクバーのところに行くと瀬戸川先輩とばったり会った。


瀬戸川先輩はジュースを入れていた途中で、私が声をかけるとその手を止めた。




「いっぱい食べてる?」




「食べてますよ。お肉大好きですから」




細いからそんなふうに見えないね、と先輩は顎を手で撫でて答えた。


そうですかね、と首を傾げながら言うと、うんと返ってきた。




「優茉ちゃん、いいこと教えてあげる。行動するかしないかは君次第ね」




再び、ジュースを入れ始めた瀬戸川先輩。


なんですか、と後ろから聞くと、入れ終えた先輩はこっちを向いて外を指さした。




「慎助、今外にいるんだよ。絶好のチャンスだと思わない?」




絶好のチャンス、何のチャンスかは私はすぐに理解した。


告白のチャンスだと、言いたいのだ。




「行動するかは優茉ちゃん次第だからね。無理に強制しているわけじゃないよ」




「い、行ってきます!」




コップに入れる力を強めて、力強く答えるといい返事だと頭をポンポンしてくれた。




「何のジュース飲むの?入れといてあげる」




瀬戸川先輩って、本当に優しい。


彼女さんとかいないのかな。今更思ったけど。




「えっと、オレンジで」




「了解。入れたら、幸ちゃんのところに持っていくね」
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