甘々王子に懐かれた!?
「そうだよ。芹香と付き合い始めたから」
先輩の口から聞いたその言葉は、私の胸をさした。
馬鹿だなぁ、自分。
もっと早くに先輩に対する気持ちに気づいていれば、少しは変わっていたかもしれないのに。
「本当に……それだけですか?友達と話すことさえも、ダメなんですか?」
私は先輩を友達だと思ってますよ。
はじめは思ってなかったけど、今は友達だと思ってます。
なんて、都合のいい奴ですか?
「俺、ちゃんと友達なんだ?」
先輩から返ってきた言葉はそれだった。
悲しそうな先輩。そうさせたのは、これまでの私。
「友達……です」
「俺のこと、嫌いだって言ってたじゃん」
そうですよ。
嫌いだって言いました。
だって、先輩、馬鹿で、アホで、甘くて、私の理想とはかけ離れてますもん。
でも、理想なんかどうでもいいんだって気づいたんです。
好きになった人が、タイプなんだって気づいたんです。
先輩の、素敵なところに気づいたんです。
「私……、先輩のことが好きです」
「それは、友達として?」
「いいえ、男の人として。嫌いとか言ってたのに急になんだって、なりますよね。でも、私、先輩のことが好きです。私が……私が、先輩の彼女になりたかった」