甘々王子に懐かれた!?
ついに告白してしまった。
初めての告白。聞いてくれただろうか。
「本当に、言ってるの……?」
さっきまでは遠く感じていた先輩が、近くに感じた。
違う。
前の先輩が見えるんだ。
先輩は先輩だろって、言いたいだろうけど、さっきまでの先輩は本当に先輩じゃないみたいだったんだ。
でも、今は、前の『優茉ちゃーん!』って呼んでくれていた先輩なんだ。
「嘘なんか、ついてないですよ」
声が震える。
先輩の顔を見ていられなくて、地面に視線を落とした。
「……ごめん、俺は、優茉ちゃんの気持ちに答えられない。でも、俺は……嬉しいよ。ありがとう」
嬉しいって、言ってくれた。
でも、答えられないって言われた。
泣きたい。泣きたいよ。
でも、目の前に先輩がいる。泣きたくない。
「嘘つけ」
後ろから、声が聞こえてきた。
瀬戸川先輩の声に聞こえたんだけど……。
振り向くと、そこには腕を組んで先輩を睨みつける瀬戸川先輩がいた。
「盗み聞きしてごめんね、優茉ちゃん。……慎助、神崎になんか言われただろ」
「何を言ってるんだ、愁」
本当だよ。
どうしたの、瀬戸川先輩……。
「……俺が優茉ちゃん貰っていい?俺、優茉ちゃんのこと好きなんだよね」