甘々王子に懐かれた!?


えぇ!?


私も先輩も、間抜け面をしている。


今、瀬戸川先輩、なんて言った……?すごいぶっ飛んだ発言したと思うんだけど。




「愁……、何言って……」




「だから、優茉ちゃん貰っていいかって。ていうか、慎助に許可とる必要ないね。俺さ、優茉ちゃんのこと好きなんだよね。でも、優茉ちゃんの気持ちには気づいていたし、別に告白するつもりはなかった。
慎助と優茉ちゃんはお似合いだし、そこに割って入ることはしたくないし」




まってまって。


この人は何を言っているの?ついていけない。


先輩もついていけてないようで、ポカン……と口を開いたままだ。




「でも、今、慎助は振ったよね、優茉ちゃんのこと。だったら、俺が諦める必要はなしなわけだよね」




グイッと強い力で引き寄せられた。


背の高い瀬戸川先輩の胸にすっぽりとハマった。


今、私は瀬戸川先輩に後ろから抱かれている状態。


な、何をしているのかな、瀬戸川先輩よ。


思考が停止した私は、抗うこともせずにすっぽりハマったまま。




「ま、まてよ、愁……っ」




「待たない。なんで待たなくちゃいけないの?何を待てというわけ?」




先輩はいう言葉をなくしたのか、唇を噛んだ。




「じゃ、優茉ちゃん行こうか」




「えっ、瀬戸川先輩……?」




瀬戸川先輩は私の手を握って、店には入らず、違うところへ歩き出した。
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