甘々王子に懐かれた!?
き、きたー!!
だから、教室には来てほしくなかったのに。
王子……、先輩の人気は絶大で、ファンクラブがある。
ファンクラブがあることは言ったか。
詳しく言うと、ファンクラブは三年の女子を中心に作られているようで、仲間達同士の呼び方は番号。
緊急事態が発生したら、緊急会議を開く。
番号は一年ごとに変わるらしい。
と言っても、今年で先輩は卒業だから、ファンクラブは今年で解散するんだろう。
じゃなくて、そのファンクラブに入っている女子たちは肉食系女子ばかり。
だから、一度絡まられると本当に終わりみたいなもの。
目の前にいる女子たちは、きっとファンクラブの一員だ。
「べ、別に付き合ってなんかはいませんけど」
「はぁ?私たち、あんたの噂よーく聞くのよ。でもね、これまで私たちの目に入ってこなかったから見逃してたけど、さっき見てしまったからぁ。……許せないんだよねぇ、抜けがけってやつは」
キャハハと甲高く笑うこいつら。
抜けがけって言われても、私が自らした覚えないし。
「あんた、ファンクラブ入ってないでしょ?なのに、なんで入ってないあんたが王子に名前呼ばれてんだよ!ファンクラブの皆は、近づきたくとも我慢してんのに。あんた、舐めてんの?」
いや知らないよ!
てか、近づくにはファンクラブに入らないといけないんですか?
そんな面倒なこと、ご苦労さまです。
「なんか言えよ」
「わ、私は別に、先輩と仲良くなろうとかそういうつもりは全くないので。えー……ですので、こんなこと言われても困るんですけど」
「あ?困る?こっちが困ってんだけど?今後一切、王子に近づくなよ」
次はねぇから、と吐き捨てて教室を出ていった。
最悪だ。
きっと、今日のことは会議とか開いて話すんだろうなぁ。