甘々王子に懐かれた!?
「どういうことですか?」
先輩の気持ちを誘き出す作戦?
私はさっき先輩の気持ちを聞いたんだけど……?
答えられないって言われたもん。
振られたんだよね。
「絶対あれ、本心じゃない。嘘だよ、あいつは嘘ついた」
瀬戸川先輩って、さっきも噓だと言っていたっけ。
瀬戸川先輩はずっと先輩と一緒にいて、私よりも先輩のことを分かっているだろう。
でも、ねぇ?
先輩の気持ちは本当にあれかもしれないし。
「俺のカンがそう言ってるから間違いないね。きっと神崎に何か言われてる」
「……本当かもしれませんよ?」
「それはないよ。健気だねぇ、優茉ちゃんは。さっきのあいつの表情見た?俺が貰うって言った時の。すごい悔しそうな顔してたよ。その顔が本当のことを物語ってるね」
悔しそうな顔、してたっけ……?
先輩のことがあんまり見れなくて、そこまで見てなかったや。
「だから、一つだけお願いしてもいい?」
瀬戸川先輩からのお願いなんて珍しい。
普段あんまり関わらないから当たり前だけど、人にお願いする人じゃなそうな感じなんだよね。
「慎助には俺達が付き合ってるってことで通したいから、付き合ってるふりをしてほしいんだ」
「付き合ってるふり……?」
「そう。優茉ちゃんは何もしなくていいから」
何もしなくていいんだ……?
なら、いいかな。先輩にも振られたわけだからね。
私は頷いた。
先輩はありがとうと言ったのだけど、そういった時の口角が意地悪そうに上がっていたのは、私の気のせいなのだろうか……。