甘々王子に懐かれた!?


色々考え事をしていると、後から来た愁に追いつかれた。


キッと睨みつけてみるものの、愁には全く効果がない。


むしろ、今の状況を楽しんでいるかのよう。


……まぁ、俺に優茉ちゃんから離れろなんていう資格はない。


ていうか、愁が俺に言うべき言葉なんだ。


彼氏……であるのは愁なのだから。




「うるさいよ」




「怒ってんの?」




分かっているくせにいちいち聞いてくる愁に、怒りが増す。


俺の隣を呑気に歩く愁。


俺は、愁に嫉妬しているだけ。


望んでもなれない場所を、ゲットしたから。




「慎助さぁ、神崎と好きで付き合ってるわけじゃないんでしょ」




愁は初めから気づいている。


さすがだな……。いつも気づいてくれる。


些細なことも、大きなことも、全て。


そして、さり気なく助けてくれるんだ。


でも、そうなんだよ、だから別れたいんだ、なんて言えない。


そう言ったら、きっと愁はなにか行動に出る。


それは、愁にとって別にしなくてもいいものだし、もしかしたら愁の身に危険なことが起こるかもしれない。


それは絶対に嫌。


あと、別れたいからと言って別れられるものじゃないのは、俺がよく分かってる。
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