甘々王子に懐かれた!?
「私が幸に隠し事できないの、知ってるでしょ?」
ごめんね、幸。
キュウッと胸が押しつぶされる感覚がして、切なくなった。
そうだけど……、と幸はゴニョゴニョと言葉を濁した。
でも、分かった、と笑って部活に行くと教室を出ていった。
なんて素敵な友達をもったんだろう。
きっともっと問い詰めたかっただろうに、それを我慢してくれて、笑ってくれて。
ごめんね、ありがとう。
――――――
「あの、私、もう一度アタックしようと思います」
私がこの決断を下したのは、先輩に告白して三週間ほどが過ぎた今日だった。
付き合っているふりは続いたまま、今日までやってきた。
幸はあの日以来、何も聞いてこない。それに胸がいたんで、何度も付き合っているふりはやめようと考えたのだが、言葉にするのは今日が初めて。
「だから……、すみません。付き合っているふりは今日で終わりにできませんか?」
放課後に瀬戸川先輩のお気に入りの場所に呼び出した。
「そっか。……いいよ。慎助の気持ちも確かめられたしね」
優しく目を細めて私を見る、優しい瀬戸川先輩に私は頭を下げた。
付き合っているふりに付き合わせてしまってごめんなさい。
そういう思いを込めて。
「気持ちを確かめた、とは……?」
「ううん、気にしないで。慎助にアタックするんでしょ?頑張れ。優茉ちゃんらしく、やりなよ」
「はい!」
私らしく。
芹香さんにはない私の部分はなんだろうか。分からないけれど、自分らしくやればいいんだよね。