甘々王子に懐かれた!?
先輩とはまだ距離は遠のいたままだし、セリカさんとはまだ付き合ったままだし、私に勝ち目などこれっぽちもないけれど、満足できるまでアタックしようと考えたんだ。
そりゃ、初めての告白で振られたのは辛かったし、もう二度とこんなことするか、なんて思ったけどさ、先輩はそれでも私に来てくれていたんだ。
嫌いだとか言ったのに、毎日鬱陶しいくらい眩しい笑顔とともにくっついてくれてた。
だから、私も迷惑がられるくらいアタックしたい。
「愁!こんなとこにいたのか。先生が呼んで――」
先輩……?
先輩のさっきの位置からじゃ私の姿が見えなかったんだろう。
眉を潜めながらやってきた先輩は、私を見つけて言葉を止めた。
瀬戸川先輩は、了解と言ってそそくさと降りていった。
さっそくふたりきりですか……!?
バクバクと心臓が跳ね上がりすぎてどこかに行っちゃうんじゃないかと心配になるくらい、大きくなる。
「ごめん。俺、邪魔したね」
ごめん、ともう一度謝られ、先輩は階段をおりようとする。
それを私は止めた。
「待ってください」
「……なに?」
目も合わせてくれない。
それでも、声が届くのなら。
「私、先輩のことが好きです。やっぱり、好きなんです。私に……してくれませんか」
とんだ自己中発言をしているのか分かっている。
セリカさんに失礼な事を言ってるのもわかってる。
それでも、この世でたったひとりの先輩がほしい。