甘々王子に懐かれた!?
明日から、学校来れるかな、ホント。
「……あのう、大丈夫ですか?」
イライラと不安が入り混じって訳の分からない状態になっている私に、か細い声が降ってきた。
クラスの委員長、御井島(ミイジマ)さんだ。
黒縁メガネに、真っ黒のストレート髪が委員長らしい。
「大丈夫だよ、ありがとう。明日からが怖いね」
アハハと空笑いすると、御井島さんは不安そうに眉を下げた。
私たちは決して仲がいいわけではなく、必要なことだけを話す仲。
それなのに、わざわざ心配して寄ってきてくれるなんて、なんていい人なんだ。
女神様か……!
「な、何かあったら言ってね。あの人達、何するかわからないから」
「うん、ありがとう。また明日ね」
桃色のお気に入りのリュックを肩に背負い、委員長とバイバイする。
いや、本当に冗談抜きで明日が怖いんだけど。
どうしよう、上靴片一方が無くなってたら。
もしかしたら、机の中にゴミ入ってたりして……。
……やめやめ!こんなこと考えても無駄だ。
「あ、先輩……」
昇降口に行くと、女子達に囲まれた先輩がいた。
先輩はずっと此処で待っていたのか、額には汗が滲んでいる。遠くからでも分かるほどに。
今いったら、絶対また何か言われる。
無視して帰る?……いや、そんなこと待ってくれていた先輩に失礼すぎる。流石にそんなことは出来ない。
いなくなるのを待とう。
……いつ帰るかわからないけど。
ずっと待っていてくれたわけだし、ジュースでも買ってあげようかな……。
私はくるりと回り、ここから一番遠い自動販売機まで向かった。