甘々王子に懐かれた!?
怖かったもん、あの時。
そりゃ、憎まれていたら怖く感じるよ……。
「何が何でもはっくんを渡したくなくて……。必死だった。でも、限界は感じていたわ。無理やり付き合わせて、あなたに彼女アピールするために学校に迎えに来たりして。……悪かったわ」
「あ、いや……」
心の底から憎い人だったら、もっと強く言えたけど、セリカさんは根はいい人で、ただ、はっくんを思う気持ちが人より少し強いだけなんだ。
なんだか、決着つけてやる!って意気込んできた私がアホらしく感じてきたよ。
「私はあなた達を邪魔することはもうない。今まで、ごめんなさいね。遠回りさせちゃったんでしょ?……幸せに」
「……ありがとう、ございます」
「はっくん、きっと待ってるわよ。この近くで。早く行ってあげなさい」
セリカさんは涙を浮かべながら笑ったんだ。
素晴らしく綺麗な笑みは、これまでで一番美しかった。
「……私、あなたならはっくんの隣にいてもいいと思うわよ。ずっと、はっくんから思われていたあなたなら」
「ありがとうございます……!では」
先輩、本当にこの近くで待っているのかな。
でも、ずっと強い思いで先輩を思い続けたセリカさんが言うなら、そうなんだろう。
怖いと思っていたセリカさんは、今日のさっきの会話で一気に印象が変わった。
素敵な女の人。
一途すぎる人。
……セリカさんも、お幸せに。
「……っ、先輩」
「優茉ちゃん!大丈夫?何かされなかった?」