甘々王子に懐かれた!?
なんのジュースがいいかな。
無難にブドウとか、リンゴとか?それとも、ヨーグルト?
自動販売機に着くまでの間に、先輩の好きそうなジュースを考える。
紙パックのジュース、飲んでるところ見たことないから分からないなぁ。
「うーん……」
自動販売機に着き、お金を出すがどれにするか迷う。
……いちごミルク買っちゃう?先輩甘いし。
そんな事しないけど。やっぱり、無難なリンゴジュースにしよう。
ガタガタンと音を立てて、冷たい紙パックリンゴジュースを取る。
私も買おうか迷ったけど、お茶残ってるし、とやめた。
「お、優茉。まだ帰ってなかったの?」
「幸!うん、今から帰るところなの」
「そう。じゃ、また明日ね」
「うん、部活頑張って!」
幸と会えたことにより、少し心が軽くなる。
「いなくなってる……!」
昇降口に戻ると、先輩を囲んでいた奴らは消えており、先輩だけが立っていた。
今がチャンスかな。
周り、誰もいないし。
私は音を極力たてずに、自分の靴をとって履き替えた。
ソロソロと先輩の隣に立つ。……五十センチほど間はあるけど。
「……先輩」
遠くを見ていた先輩の横顔は、少し切なそうで、寂しそうだった。
いつもと違う姿に少し……ドキッとした。
「先輩?」
一度目の声は聞こえていなかったらしく、二度目の声で先輩が変な声をあげた。