甘々王子に懐かれた!?
「やっと付き合えたんだね。おめでとう」
「ありがとう、幸ー!」
リュックを背負ったまま突進すると、重いだの痛いだのなんだのって言われたが、私を喜ばせたのが悪いんだから!
ギューッと抱きついてると、先輩の声が聞こえてきた。
「優茉ちゃん、俺にもギューは?」
「先輩にはないです」
幸の胸に飛び込んだままこたえると、偽の泣き声が聞こえてきた。
私はそれも無視する。
幸ってなんか、友達という立場より、お母さんみたいなところあるんだよね。
安心する……。
「優茉、そろそろ離れて。先輩の視線が痛いわ」
肩をとんとんと叩かれてから、優しく剥がされる。
先輩の方を見れば、口先を尖らして、幸を睨むような目で見ていた。
私はやめてください、と言うと、素直にやめた。
「俺だって、ギューしてもらいたいし」
ちっちゃい子か!
思わず突っ込んでしまいそうなくらいの勢いで思った。
うわあ、突っ込めばよかったかな。
「はいはい」
私は軽くあしらって、幸と一緒に歩き始めた。
幸は先輩はいいのかと聞いてきたが、いいのと答えた。
そりゃ、先輩といたいけども!
心臓がこれ以上持ちそうにないので、ごめんなさい、先輩。
――――――
「そういやさあ、優茉。謎は解けたの?」
お昼ご飯を食べ終え、お昼の暖かな日差しを受けながらのんびりとしていると、隣にいた幸がハッとしたように話しかけてきた。