甘々王子に懐かれた!?
「……それと、お揃いのものがあるって知ってる?」
「お揃い、とは?これ、お母さんの手作りなんですよね?お揃いがあるわけ……」
あるわけないじゃないですか、と言いかけた私の口は、先輩の手にした物を見てとまった。
だって、私のこの“うさぎなのにくま柄の服をきたストラップ”の反対バージョンを持っていたから。
先輩の持っているストラップは、“くまなのにうさぎ柄の服をきた”ものだ。
街中では中々ない、あべこべのストラップ。
きっと、このストラップと先輩のストラップはお揃いなんだ。
私のも先輩のも、薄汚れてしまっているけれども。
「なんで、持っているんですか……?」
「正確に言うとね、そのストラップは俺の母さんが作ったやつで、俺の持っているこのストラップが優茉ちゃんのお母さんが作ったものなんだよ」
頭が混乱して、全然回転しない。
私のストラップは先輩のお母さんが作ったもの……?
そんなこと、一言もお母さんは言わなかった。
「俺たち、一度昔に会ってるんだよ。だーいぶ前にね。忘れていても無理はないなぁってくらい。……別れる時に、また会った時の目印になるようにって作ってくれたんだよ」
昔に会っていた……?
私と先輩が?いつ?どこで?……思い出せない。
心拍数が上がり、手は震え、冷静になることができない。
だって、いきなりこんな事言われるなんて、思ってもみなかった。