甘々王子に懐かれた!?
「急に声かけないでよ!びっくりした!」
本当にビックリしたようで、目がこれでもかってくらい開いたままで私に話しかけてきた。
そんなに驚くとは。ごめん、先輩。
「そんなにビックリされるとは思わなかったんです、ごめんなさい」
「優茉ちゃんだからいいけどね」
いいんかーい。
この先輩、本当に甘いなぁ。厳しいっていう言葉、知ってるのかな?ってくらいに。
なんでこんなに甘いんだろう。
「優茉ちゃん、来ないかと思ったよ」
「私の靴がここにあるので、ここには来ますけど」
「違うよ!俺のところにだよ」
分かっていながらも、待っていてくれたことが少し嬉しくて、少し照れるから、冷たく言った。
この先輩、真っ直ぐすぎるから困るんだよね。
「だって、待ってるって言った先輩、放って帰れるわけないじゃないですか。私の優しさですよ、感謝してください」
「うん、ありがとう、優茉ちゃん」
ふにゃりと頬を緩めて笑う先輩は、世界一可愛いと思う。
こりゃあ、いくら嫌っていても胸は高鳴るものです。
私だから生きているけど、私じゃなかったら死んでたかもしれないよ、皆。
「……さて、帰ろうか」
「待ってください。先輩、先に行っててください。あとから行きますので」
どうして?と言いたげに首を傾げる先輩。
なんで分からないかな!?私、先輩の隣歩いたら、ファンクラブの皆様方に殺されるんだって!
学校はちゃんと卒業したいから、先輩、お願い、もう少し理解できる頭になって。
「お願いです、先輩。絶対一緒に帰りますから」
「ほんとに?逃げようとしてない?」
不安げに揺れる瞳。
今はそこに焦っている暇などないのです。
ここはいつ、ファンクラブの皆様がお通りなられるか分からないんだから!
「逃げない逃げない!逃げたら、捕まえに来ていいですから!とりあえず、先に出てください!」
とっとと学校出ろこのバカ先輩!
と、言いたいところだが、なんとか抑える。
さっさと出てくれないと私怒るよ。