甘々王子に懐かれた!?
「にしても、どうしたの?急にそんなこと聞いてきて」
「幸……、友達と話してたんですよ。どうして先輩が私のところに来たのかなって」
俺のいないところで俺の話をしてくれるなんて嬉しいなぁ、と照れていた。
こういう反応も残念なところ。
先輩が甘々王子じゃなくて、ツンツン王子になったらどうなるんだろう?
まぁ、容姿が良いことには変わりないから、今と同じようにモテモテなんだろうなぁ。
「優茉ちゃん、優茉ちゃん。連絡先、交換しない?」
「嫌です。無理です」
「二重で断られた!?どんだけ俺のこと嫌なの!」
「今のままだとずっと嫌いなままですね、残念ながら」
私は先輩の方を一切見ずにすたすたと歩く。
私の方が足短いのに、先輩の方が、待ってと言っている。
おかしいの。
「優茉ちゃんー、どうしたら俺のこと好きになってくれる?」
「まず、先輩が私のこと本気じゃないから無理ですね。私、臆病者なので」
「俺、本気じゃないようにみえる?」
急に、ピタリと足を止め、いつもより低い声が背後から聞こえてきた。
「逆に聞きますけど、本気なんですか?」
私も立ち止まり、後ろを向いた。
悲しそうに俯く、先輩がそこにいた。
そんな顔にさせたのは、確実に私。
「……すみません、先輩。言いすぎました。忘れてください」
先輩がそれに答えられないと知っていた。
私だって、こんなことを聞かれたら答えるのに困る。
それがわからないほど、私は馬鹿じゃない。
「先輩?」
「優茉ちゃんは、優しいね」