甘々王子に懐かれた!?
角の生えた鬼先輩
「あんたさぁ、いい加減にしろよ」
勢いよく睨みながら私に一方的に話してきているのは、昨日、私に警告してきた女子三人と、新たな違うクラスの女子二人。
計五人が私の前に立っていた。
なぜ、こんなことになったかって……?それは、遡ること十分前――――
『優茉ちゃんと一緒に登校だ!』
『嬉しそうで何よりです』
一緒に行こうね、と約束された通り、先輩は私の家に来ていた。
別に、朝くらいなら誰もいないだろうし、いたとしても、この近所の人たちは皆優しいから大丈夫なはず。
そう思いながら、登校していたのだが……。
『はい、学校そこだから離れて』
学校まで、残り五十メートルになると、私は先輩の後ろに行き距離をとった。
ここまで来ると、ファンクラブの皆様方とお会いするかもしれないし。
先輩は、昨日で学んだのか、残念そうにバイバイと前を歩いた。
その姿に、嫌いな人だけどちょっと胸が傷んだり。
自業自得なんだよ!先輩が人気者だから!
なんて、先輩のせいにしてみたり。
『ちょっと、あんた。今、いい?ていうか、来てくれないと困るけど』
『は、はい』
距離をとったのは無駄だったみたい。
――――な、ことがあったためだ。
「昨日言ったはずだよねぇ?近づくなって。なのに、ノコノコ王子の隣歩いて学校来るとか、お前何様なの?」
すみませんが、それはこちらのセリフです、ファンクラブの貴方様。
そちらこそ、何様なんでしょうかねぇ。
「何様でもないです」
――――ただ、
「あなたたちよりも少し、先輩と関わりを持っている野郎です」
「あ?黙れよお前!なに偉そうに喋ってんの?お前、頭イカれてんな」
そばにあった壁に打ちつけられる。
肩からいったために、肩がじんじんと痛む。
こいつらだいぶウザイから正直に言ってみたけど、ダメダメだな、こりゃ。
人生終わったとか思ったけど、別に終わってないかもしれない。
――――少し面白いかも。
私ってこういうのに弱いと思っていたけど、案外強かったなぁ。
まぁ、急に来られると怖いしビビっちゃうけど、なんか相手が話している間に冷静になってくるし。
それで、今、あいつらがキレている様子を見るの、面白いし。
もしかして、私って――――
「頭、ネジぶっ飛んだかも」