甘々王子に懐かれた!?
本当に本当に、鬱陶しいのだ。
「待ってよ、優茉ちゃん。そんな逃げないで」
走ってきた奴は、私の隣に立ち、困った顔で話しかけてきた。
さり気なく、道路側に立ってくれる。
甘すぎる部分がなかったら、完璧なんだろうけどなぁ。
残念な人。
「なんですか、先輩」
なぜ奴が三年生なのか……。
同い年だったら、もっと適当にあしらえただろうに。
私もつくづく可哀想なやつ。
「なんで逃げるの?俺、別に悪いことしてないでしょ?」
ストーカー紛いのことをしているのに、それは悪いと思わないの!?
頭の中はどうなってるんだ。
常識というものが入っているのか?いや、入ってないな、こいつの頭には。
「これ、完全にストーカーじゃないんですか?」
「可愛い可愛い優茉ちゃんと一緒に学校に行きたいから来たのに、ストーカーになっちゃうの?」
それがストーカーなんだってば!
先輩じゃなかったら、思いっきり叫んでやりたい。
はぁ、と本日三度目のため息を吐いた。
「見てみて!凄いよ、雀がいっぱいだ」
「わっ、凄い数ですね」
私は雀が好きだ。
小さな体でパタパタと飛ぶ姿は、もうそりゃ可愛すぎて可愛すぎて……。
「やった、今日も優茉ちゃんの笑顔ゲット」
「……」