甘々王子に懐かれた!?
「……お前、王子を味方につけやがって……!今日で終わりだと思うなよ!」
リーダー格の女子が仲間に行こっと言って、そそくさと去っていった。
「なんだあいつら!腹立つな。これからもあるってことかよ」
「先輩、助けてくれてありがとうございます」
「……頬、大丈夫?他に痛いところはない?」
肩も痛いけど……。
別に、言わなくてもいいか。あとで保健室に行って湿布でも貰ってこよう。
「ええ、別にほっぺも痛いわけじゃないですから。さぁさぁ、もうすぐチャイムなります。帰りましょ」
先輩と私の仲がいい……、いや、決していいわけではないけれど、相手は仲が良いと確信しただろう。
本当にいじめが始まるな。
でも、先輩を避けることはなくなったし。まぁいいかな。
……なにが、いいんだ?
自分で思いながら、自分で問う。
待って、何がいいの?今、何が良くていいかななんて思ったの?
「どうしたの、優茉ちゃん?ボーッとして。痛いんじゃない?」
「いえ、痛くありません。こんなの姉弟(きょうだい)喧嘩でもあることですし」
「きょうだい!?上?下?」
「下、弟です。ストーカーしてるのに、知らなかったんですか?」
知らなかった、とチャイムが鳴ると同時に先輩が叫んだ。
う、うるさい!うるさいよこの先輩!
「俺さ、上しかいないから憧れてたんだ、下って!ねぇ、弟くん何歳なの?」
「もう中学二年生ですから、だいぶ大きいですよ」
背は、お父さんの血を受け継いだのか、もう百七十五センチだと嫌味ったらしく言ってきた。
顔もそこそこ良いし、彼女も何人かいた。
お姉ちゃんと違って、充実したライフを送ってやがるのだ。
生意気だしむかつく。