甘々王子に懐かれた!?
あの時、とは、私が五人組に連れ去られた時のこと。
あそこに先輩が来たのは、幸のおかげだったのだ。
あの時、幸は私よりも先に教室に来ていて、窓から私が来るのを眺めていたらしい。
そうしたら、あの先輩が学校に来て、そろそろかなぁと私を待っていたところ、中々現れない私を心配したそうだ。
幸には言っていたんだ、トークアプリで。
【明日も先輩と一緒なんだけど、最悪!ねぇ、幸、一緒に行かない?】
と。
可笑しいなぁと感じ始めた幸は、最悪な事態のことを考えて、先輩の元に向かったらしい。
強いよね、幸って。
それで、先輩と幸が二人で私を探してくれたんだって。
幸が気づいてくれなかったら、どうなってたんだろう。
「ちょっと、優茉!あんたの机ないよ!」
「あれ、昨日まではあったのに。どこに行ったんだ、私の机」
「そんなに呑気に言ってる場合じゃないよ!」
教室につくと、昨日までは確かにあった私の机がなくなっていた。
私が中々動じないから、派手にきたなぁ。
私よりも騒いでいる幸を落ち着かせて、クラスメイトに聞いて回る。
「ねぇねぇ、私の机、来た時からなかった?」
「へっ?あ、うん。どこに行っちゃったのかな。私も探すよ」
朝早くから来てそうな女子に声をかけると、手伝うと言ってくれた。
でも、私は首を横に振った。
「ううん、大丈夫。校内にあるはずだし、一人で探してくるよ。ありがとう」
私も探すから!の幸の声を聞いて、思わず笑ってしまう。
幸のその一生懸命さが大好きだ。
「今回もあいつらだよね?」
「そうでしょ。それ以外考えられないしね。きっと、朝早くに来てやったんだろうね」
さっき、チラッと机の方を見ると鞄だけが置いてあったし。
机を探しに来るの待ってるか、それともただ仲間と話してるか。
どっちでもいいんだけどね。