甘々王子に懐かれた!?
「空、綺麗だなぁ」
ここの窓から見えるのは、学校の先にある建物と、空だけ。
グラウンドは反対側だから、見ることは出来ない。
今日あったことは、机がなかったことと、紙くずが入っていたこと。
この場所で今日の出来事を振り返る。
ここは静かで、自分の気持ちと向き合うのに最適な場所だ。
いつまで続くかなぁ。この状態のまま、続いてくれたら良いけれど、教科書や本に手出されると嫌だし。
んー、困った。
なんて考えていると、肩を優しく叩かれた。
「――――!?」
驚きのあまり、声に出ない叫びとともに体を窓にぶつける。
「わ、ごめん、そんなに驚くとは思わなくて。痛くない?」
肩を叩いたのは、意外な人物――今朝初めて話した瀬戸川先輩だった。
「だ、大丈夫です……」
なぜ、瀬戸川先輩がここに……?
ここは滅多に人の通らないところなのに。
「瀬戸川先輩はどうしてここに……?」
「ここね、俺の好きな場所なんだ。綺麗でしょ、ここからの景色。だから、毎日部活を抜け出して眺めてるんだ」
そうか、だからここに……。
「すみません、私お邪魔ですよね。し、失礼しま――」
「お邪魔なんかじゃないよ、ちょっとお話しよ?」
やんわりと先輩とはまた違った笑みで、私を安心させてくれる。
瀬戸川先輩も素敵な先輩だ。