甘々王子に懐かれた!?
「とりあえず、自己紹介とでもいこうか。俺は、三年の瀬戸川 愁(セトガワ シュウ)。君は?」
「一年の赤坂 優茉です」
下の名前、シュウっていうんだ……。上の名前は知っていたけど、下の名前は知らなかったんだよね。
漢字でどうやって書くんだろう。
「瀬戸川先輩、シュウって漢字でどうやって書くんですか?」
「あぁ、シュウは秋に心で愁って漢字あるでしょ?それだよ。優茉ちゃんは、優しいにあの……草冠のやつだよね?」
瀬戸川 愁先輩か。
ちゃんと覚えておこう。って言っても、人気者の瀬戸川先輩だから忘れることはないんだけど。
「なんで知ってるんですか?教えたことないですよね?」
「あいつ、慎助が紙に書いていたから」
「先輩が……」
紙に私の名前を書くって……。
何してるのさ、先輩は!
「くははっ、面白いね、優茉ちゃんは。顔にすぐ出る」
「えっ、今どんな顔してました!?」
は、恥ずかしい……!
変な顔してなかったかな。顔に出ちゃうとか……初めて言われたな。
「大丈夫大丈夫。変な顔はしてなかったよ、面白い顔してた」
「それを変な顔って言うんじゃないんですか!?」
瀬戸川先輩は何が面白いのか、吹き出して笑い始めた。
相当面白いらしく、体をくの字に曲げて目尻には涙が浮かんでいた。
「ふうはちゃ、さいこっ。きいっ……たよ(優茉ちゃん、最高。気に入ったよ)」
笑いながら喋ってくるもんだから、何を言っているのか聞き取れない。
ツボが浅いのかな……?きっとそうだよね。だって特別面白いことなんかなかったし……。