甘々王子に懐かれた!?
「すごい驚くね」
「姉ちゃんから男の名前が出てきたのって、初めてのことなんです。だから、てっきりそうかと思い込んで……」
俺、初めてなんだ?
嬉しい。大好き!なんて優茉ちゃんに言ったら、冷たくあしらわれそうだな。
「そうなんだ。じゃあ、優茉ちゃんの初恋はまだなんだ?」
「そうじゃないですか?そんな話、したことないんで分からないですけど、雰囲気的に」
陽夏くんから色々情報ゲット出来ちゃうよ。
ごめんね、優茉ちゃん。黙ってるから許して。
「……陽夏くんは、彼女さんとかいるんじゃない?」
「あぁ、はい、まぁ……」
陽夏くんはぎこちなさそうに答えた。
それは決して恥ずかしさからくるものではなく、どこか後ろめたさがあるような、そんな感じだった。
「ぎこちないね、喧嘩でもしたの?」
「なんか、相手の子に言われるんですよ。
〝私のことを好きな感じが全然しない。私の一方通行じゃないの?〟って。
でも、それをきっぱり反対できなくて。相手側から告白されて、俺も別に断る理由がなかったから付き合うことにしたんですけど……。なかなか上手くいかなくて。それが何度もありまして」
うん、これはモテる子特有の悩みだな。
相談のってもらってもあまりいいアドバイスが貰えなくて、と悲しそうに笑った。
そりゃそうだなぁ。これはモテる子だけがもつ悩みだし。