甘々王子に懐かれた!?
「そんなに謙遜しないでくださいよ」
本心だよ、陽夏くん!
謙遜なんて、そんなことできる奴じゃない。
優茉ちゃんに言ったら、そんな謙遜できるほど器用な人じゃないよと言いそうだ。
「慎助さんは……、姉ちゃんのこと好きですか?」
恋愛として、と付け足した。
そこ大事だもんね、と俺は心で小さく笑った。
「難しいね」
先日、優茉ちゃんに言われた、〝先輩は本気なんですか?〟
あの時、咄嗟にいい言葉が思い浮かばず、結果優茉ちゃんの優しさに頼ってしまった。
優茉ちゃんのことは好きだ。
でも、まだ、まだ、恋愛として確信がもてない。
〝あの出来事〟には深く深く感謝していて、これ以上ない素敵な人で、好きだけど、
どうしても、あと一歩が進めずにいるんだ。
「好きだよ、もちろん。大事だし。でも、恋愛となるとわからないな」
ハッキリさせなくちゃと言った本人が曖昧なんて、失礼すぎる。
「ごめんね、あんな事言った人が曖昧で……」
「いやいや。曖昧だから、今の関係を保っているんでしょう?いいと思いますよ」
「ありがとう、陽夏くん」
これから陽夏くんはもっといい人に育つ。
俺も、陽夏くん以上に素敵な人にならなくちゃ。