甘々王子に懐かれた!?
Ⅱ
訪れた変化
「今日もかよ!もう、ありえない!」
「まぁまぁ、幸、落ち着いて」
「落ち着けられるわけないじゃん!なんで、なんで優茉ばっかり!ていうか、優茉ももうちょっと怒ろうよ!」
イジメ……のようなものが始まって、数週間がたっていた。
夏休みが目前に迫ってきた今でも、あの奴らはこの行為を止める気は全くないようで、日々同じものが書かれた紙が下駄箱から見つかり、教室に行けば何かある。
そんな日々の中、ストレスがかなり溜まったのは、これを受けている私ではなく、こんな私をそばで守り続けている幸だった。
そろそろブチ切れるだろうなぁとは薄々感づいてはいたが、まぁ、こんなにも怒りを露わにするとは思わなかった。
だって、幸のまわり、赤い炎が燃え上がってるんじゃないかと錯覚するほど顔を赤くして怒ってるんだもん。
……私より、幸のほうが相手になにかしそう。
「ねぇ。もう、直接言お?」
下駄箱に入っていた紙くずをグシャりと潰し、手で持てるサイズにしていると、しびれを切らしたようで、幾分か冷静になった幸が聞いてきた。
「そんなことダメって言ったの、誰だっけ」
「あれは、やり返すとか言うからだよ?言いに行くくらいしないと、私が黙ってられない」
心配してくれている幸には申し訳ないけど、私は首を横に振った。
「私は行かないよ。そんなことしたって、何も変わらないもん。殴りに行くくらいしたら、なにか変わるだろうけど」
多分、悪い方向に変わるよねぇ。